広島のスイス人観光客と路面電車の事故原因【外国人観光客の横断に注意】

雑記帳

今日は、ビタミンです。

 16日夜、国際平和都市の広島市で、スイスから来日されていた高齢者の観光客ご夫婦が路面電車と接触するショッキングな事故があり、ご主人の80歳の男性が意識不明の重体、74歳の奥様も胸を骨折するなどの重傷を負われました。

 街中を走る路面電車といえば、専用の軌道を走る安全性の極めて高い乗り物なのに、どうして、このような事故が起きたのでしょうか。

 走行中の電車の軌道内に入るなど、日本人の感覚ではありえない状況です。

 今回発生した広島路面電車スイス人観光客との接触事故の原因を、

  • 路面電車の運転手の油断
  • 歩行者が、スイス国籍の観光客であったこと
  • 歩行者が、高齢者夫婦であったこと
  • 事故当時の天候が雨だったこと

と考察したので、皆さんも、来日外国人観光客の増える観光地で、外国人観光客の横断に注意し、日本の常識では考えられない行動をとる歩行者の方の安全と、自らの安全を守るための、安全運転のための参考にしてください。

事故の概要

  事故があった時間は、16日19時20分頃で、週末の帰宅ラッシュ時間で、場所は広島の平和公園にほど近い、繁華街の広島市中区の路面電車の紙屋町東電停から少し東に行った所です。

 事故の現場は、信号機のある見通しの良い道路でしたが、当時は、雨が降っていて、夜間の降雨という天候から、視界が良好とはいえない不運もあったようです。

 警察の発表によると、事故にあったスイス人ご夫婦は、横断歩道でない場所を横断していて、路面電車にはねられたそうです。

 私も、観光で何度かこのエリアを車や徒歩で歩いた経験がありますが、市街地を走る主要道路であることから、私の感覚では、とても怖くて横断歩道以外の場所を横断する勇気が出ない場所でした。 

事故の原因考察

路面電車運転手の油断

 公共交通機関として、安全運転に配意している広島電鉄の路面電車が、降雨により多少とも視認性が悪くても、本来見通しの良い直線道路で、横断者と接触することは、通常考えられません。

 考えられるのは、歩行者二人が、接近する電車に気付いていても、「当然、電車が止まってくれるだろう」と考えて、横断をやめなかったことでしょう。

 逆に言えば、運転手が、「まさか、走行中の路面電車の前を、歩行者が横断することはないだろう。」と判断して早目にブレーキを踏まなかったとう運転手の油断に起因した事故の可能性が高いです。

歩行者が、スイス国籍の観光客であったこと

 ドラマ「101回目のプロポーズ」で、主人公がトラックの前に飛び出して「僕は、死にましぇ~ん」と叫んだシーンを思い出しました。

 スイスから広島観光に来ていた老夫婦は、何故走行中の路面電車の前を横断しようとしたのでしょう。

 その理由は、日本と、スイスの道路交通事情の違いにありました。

 日本でも、歩行者優先は叫ばれていますが、実際は、信号機のない横断歩道を渡ろうとしていても、全ての車が一時停止して道を譲ってくれるわけではありません。

 ところが、歩行者優先が徹底しているスイスでは、歩行者の権利が明確に法律に規定されており、歩行者への配慮が義務付けられています。

 たとえば、横断歩道ではない普通の路上でも、歩行者が道路を横断するそぶりを見せたら、自動車は停止して歩行者に道を譲らなければならないほど、歩行者優先の意識は徹底しています。 

 具体例としては、歩行者が歩道や歩行者と車両のレーンを分けるための白線から、1歩でも車道側に足を踏み出したら、自動車はかならず停止しないと違反になるそうです。

 ということで、そのように徹底した歩行者優先の意識を持つ国、スイスで生まれ育ったスイス人の方ならば、つい、日本でも、スイスと同じ歩行者優先の対応を、ドライバーや、路面電車の運転手に方に、無意識で求めていた可能性は高いと考えられます。

歩行者が、高齢者夫婦であったこと

 とはいえ、歩行者優先が徹底するスイスがあるヨーロッパでも、ポルトガルなど歩行者優先でない国もあるようです。

 高齢になって、ご夫婦で日本観光を訪れたお二人ですから、今回が初めての海外旅行でないと思われます。

 当然、お二人は、これまでも、今回も、行く先々の国の道路交通事情は異なることはご存じだったのだと思われます。

 ただし、一般的に39歳から始まる脳の萎縮により、60歳を過ぎたころから始まる認知機能の衰えは、状況判断力の低下をもたらすので、今回の事故の原因の一つに、高齢のお二人の状況判断力の低下と、これまで生まれ育ったスイスにおける行動パターンの習慣化があった可能性は高いですね。

 具体的には、お二人は、スイスで道路を横断する時と同じく、「道路を歩行者が渡れば、当然車や路面電車が止まってくれるだろう。」と考えていた可能性が高いですね。

事故当時の天候が雨だったこと

 更に、不運だったのが、事故当時の天候です。

 普通に歩いていても、鉄板の上が濡れているととても滑りやすくなり、時には転倒してしまった経験が皆さんにもあると思います。

 路面電車の車輪は鉄で、線路も鉄です。ですから、降雨時の路面電車は、当然停止距離が長くなるのは、何となくわかりますよね。

 これば、タイヤがゴムでできている自動車での実験ですが、JAFが行った実証実験によれば、時速100kmで直線を走行し、ブレーキをかけたときの制動距離は、路面が乾いているときが約42.6mであるのに対し、路面が濡れているときは約70.5mでした。

 降雨時の排水対策がなされているゴム製のタイヤがある自動車でさえ、このような結果ですから、路面電車も同様に、雨天時には制動距離が長くなるのは当然のことでしょう。

まとめ

 今回は、国際平和都市広島で発生した、スイス人観光客路面電車接触事故の原因について考察してみました。

 考えらえる事故原因は、

  • 路面電車の運転手に、来日外国人の行動特性の理解が不十分だったこと(油断)
  • 歩行者に、母国(スイス)と日本の道路交通事情の差への認識が不十分だったこと(油断)
  • 歩行者が、高齢者であり、状況判断能力の衰えがある可能性も考えられること
  • 路面がぬれていて、路面電車の停止距離(制動距離)が長くなったこと

と考察されました。

 インバウンド景気が復活し、国際的観光地となっている広島の繁華街は外国人旅行者の姿で溢れています。

 外国人旅行客の国籍によっては、信号のない横断歩道を渡る際に、車の停止をいちいち確認しないことが習慣化されている方もいらっしゃいます。

 私たち日本人が歩行者となる場合は、多くの車が横断歩道で停止しないことを知っているので、ドラマ「101回目のプロポーズ」で、主人公を務めた武田鉄矢さんのように、あえて、トラックの前に飛び出して「僕は、死にましぇ~ん」と叫ぶ方はいないと思います。

 ただ、多くのヨーロッパ諸国から来日された外国人の方の中には、母国での常識から「日本の車も横断歩道では止まる」とか、横断歩道以外の場所でも、「歩行者が横断し始めれば、車は止まってくれるもの」ものと思んで、交通状況を確認しないまま横断する可能性があるようです。

 どちらが悪いという問題ではなく、おもてなしの国「日本」の名に恥じないように、来日外国人の方が、「日本は安全な国」と考えている期待と、信頼を裏切ることのないように、特に、雨の日の高齢者の外国人の歩行者の方の行動には、十分配意をしてあげましょう。

 事故は、しても、されても、誰も幸せになるものではありませんから…。

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