こんにちは、ビタミンです。
昨日のニュースで、岡山市南区と愛媛県今治市で山林火災が発生したと大きく報道され、現在も延焼中です。
また今日は、岩手県大船渡市で焼失面積2900ヘクタール、死者1名、住宅76棟およびその他の施設等に大きな被害を出した大規模山林火災で、現在鎮圧状態にある火災現場の鎮火宣言に向けて、関係者400人で残り火確認作業を始めたと報道されています。
私が捜査員をしていた時も、山林火災は多くありました。
その原因はさまざまで、なかなか出火の原因を特定して事件として立件することは難しかったと記憶しています。
また、山林火災は、一旦鎮圧しても、しばらく時間が経つとまた火がでて燃え広がり、鎮火するまでにも時間がかかる特徴があり、消火活動は大変で、消防の方のご苦労には頭が下がる思いだったと記憶しています。
それでは、早速、今回のテーマの
について話を進めていきましょう。
山林火災の原因
山林火災の原因は、大きく
- 自然発火によるもの
- 人為的理由で出火したもの
の二つに分けられます。
自然発火によるもの
自然発火による原因としては
- 落雷
- フェーン現象
の二つが代表的です。
落雷
落雷は、雷が落ちて火が発生して燃え広がるので、落雷の有無と、火災の発生時間や場所等を分析すれば、比較的原因の特定が容易なのですが、私は経験したことはありませんでした。
フェーン現象
次に、フェーン現象とよばれるものです。
国内で有名なのは、温暖な瀬戸内地方で、秋から冬にかけてフェーンと呼ばれる乾燥した高温の風が吹いて、その風が秋から冬に落葉して降り積もった枯れ葉や枯草などを振動させ、その摩擦熱で発火して、一気に火が立ち上っていく現象をいいます。
昨日山林火災が発生した岡山市南区と今治市とも、とちらも瀬戸内地方に位置します。
また、昨日は寒さが緩み春のポカポカした陽気になっていていました。
となれば、当時、海面から風が吹きあがりフェーンと呼ばれる乾燥した高温の風が吹いていたとの条件が重なっていいたのだと仮定すれば、今回の山林火災は、フェーン現象による可能性も十分に考えられることこですが、本当の原因は、これから明らかになると期待しています。
人為的理由で出火したもの
私の経験上、山林火災の大半は、人的理由で出火したものばかりでした。
人為的理由とは、法律用語でいえば
- 失火(しっか)
- 放火(ほうか)
の2つです。
一番多かった印象があるのは、失火です。
失火
失火とは、ワザとじゃなくて、過失によって火事を起こしたことをいいます。
山火事を起こす失火の分かりやすい例では、
- 畑や建物の近く、キャンプ場などで焚火をしていた火が風にあおられて燃え広がった場合や、きちんと火を消さずにその場を離れた火の不始末
- タバコの火の不始末
といったところでしょう。
一般民家でよくある失火は、天ぷらを揚げていて、途中で別の事に気がとられて台所から離れていたところ、気が付いたら鍋から火が出て火事になるパターンは多かったです。
天ぷら油の失火は、たいてい、お昼前か、夕食前に発生するので、たいていその時間帯に火災が発生すると、ほぼ天ぷら油の失火で間違いなかったです。
失火の罪は、その過失の程度により火事を起こした刑事的な責任も変わってきます。
また、民事的な責任(損害賠償責任)も、通常の失火では問われることはありませんが、同じ過失でも、重大な過失があればあった場合には、民事上の賠償責任が求められます。
ですから、ワザとじゃない…といって、全てが許されるわけではないので、屋外で焚火等をする際は、火が燃え広がった時に、すぐに火を消し止められるように、消火器や、水の入ったバケツを用意しておくようにしてくださいね。
放火(ほうか)
放火については、説明は不要だと思います。
放火については、何故放火するのか理由が分かりませんが、もちろん、恨みなどで、誰かを困らせてやろうとして行う放火もあるでしょうが、中には性格的な原因から、
- 火事を見るとわくわくするから
- 消防団として、活躍するのが楽しいから
- 火事で人が大勢集まってくるとうれしいから
といった理由で放火をする場合もありました。
大船渡市の火災の原因は現在も捜査中ですが、山林火災の原因が、失火だろうが、放火だろうが、大きな被害をもたらしたという結果は同じ事なので、火の用心には十分務めていきたいと思います。
鎮圧と鎮火の違い
それでは、「火事を鎮圧した」と「火事が鎮火した」の違いを説明いたします。
鎮圧とは
鎮圧(ちんあつ)とは、消防署などによる消火活動で、火災の勢いを弱くした状態
- 消防署などによる消火活動で、火災の勢いを弱くした状態で、直接的な消火活動をする必要のない状態
を言います。
イメージ的には、もう放水などの消火活動をしなくても、一見してどこからも火の手が上がっていない状態で、その判断は、消防署の現場責任者の指揮官が認定しています。
ただ、火災の現場では、表面上火の手が見えなくても、火災現場に堆積した燃え残りの中まで完全に熱が下がっている訳でもないので、色々な条件が重なれば、再び火の手が上がってくる場合も多くあります。
ですから、消防の方は、一旦火事を鎮圧しても、次に説明する「鎮火」の確認をするまでは、消火のための活動を継続することになります。
鎮火とは
鎮火とは、文字通り、火事がおさまって、
- 再燃の可能性がないと現場指揮官が認定して、一連の消火活動を終結させることができる状態
を言います。
ですから、今回の大船渡市の大規模山林火災では、3月9日に鎮圧の宣言がされていますが、本日(3月23日)現在も、鎮火宣言はされていません。
報道によると、本日初めて大船渡市の消防や地元の消防団の方400人が、鎮火の状態にあるかどうかを調べるために、大規模な確認作業を行っているそうです。
現在も、2か所で白煙が確認され、明日以降も引き続き確認作業を継続するそうです。
今日の時点で、2か所も白煙が確認されている以上、鎮火の宣言が出されるためには、天候にも左右されますが、相当時間がかかるのでしょう。
まとめ
今回は、全国で相次ぐ山火事のニュースから、山火事発生の原因と、消火活動を終えるための鎮圧と鎮火の状態についてお話してみました。
- 山林火災の原因は、自然発火のよるものと、人為的理由で出火したものの2種類がある
- 自然発火による場合は、当時の気象状況に大きく左右される
- 人為的理由で出火するものには、過失による失火と、故意による放火の2種類がある。
- 失火でも、重大な過失があれば、民事的な損害賠償責任を負うことがあるので、十分気を付ける必要がある。
- 火災の鎮圧とは、火災の勢いを弱くした状態で、当面直接的な消火活動をする必要のない状態をいう
- 火災の鎮火とは、再燃の可能性がないと現場指揮官が認定して、一連の消火活動を終結させることができる状態をいう
という事をご理解いただけたでしょうか。
岩手県大船渡市の火災も、そして、今日も懸命の消火活動が続いている岡山市南区と愛媛県今治市の火災も、消防や自衛隊の方々が、国民の生命・身体・財産を守るために休日返上で活躍していることに感謝して、私たちも、決して火災を起こすことが無いように心して生活していきたいと思います。
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