今回のクラッシックTVは、「ストラディヴァリウス 名器の響きにひたる!」と題して、ストラディヴァリウスの魅力が紹介されます。
ゲストのバイオリニストの古澤巌さんが、スタジオで奏でるバイオリンは、サン・ロレンツォという名のストラディヴァリウスですが、時価10億円もするそうです。
かつては、あのマリー・アントワネットも聞いていたというこのバイオリンを、今弾いているのはバイオリニストの古澤巌さんですが、この楽器を持っている所有者はどんな方で、何のためにこのような高価な楽器を他人に貸与されているのか、少し気になって調べてみました。
このバイオリンの所有者は、意外な方でしたよ!調査結果が気になる方は、最後までご覧ください。
古澤巌wiki
音楽ファンの方なら、今更ご紹介する必要もなのでしょうが、簡単に、バイオリニスト古澤さんをご紹介させていただきます。
古澤巌(ふるさわいわお)さんは、1959年7月11日東京都で誕生された現在65歳のバイオリニストで、作曲家、俳優としての活動もあります。
古澤さんがバイオリンを始めたきっかけは、保育園の先生に、お母様が「左利きなので、何か習い事をさせては」といわれたことのようです。その言葉を真に受けたお母様は、ピアノは高価なので、近所でバイオリンを買って、古澤に与えたそうです。
バイオリンの教室でも、お母様は先生に「左利きなら、人の3倍は練習しないといけないので、やめた方がいい。」と言われたそうで、お母様には、古澤さんに人の何倍もバイオリンの練習させましたが、特に古澤さんをバイオリニストするつもりはなかったそうです。
古澤さんは、5才で桐朋学園音楽教室へ入ったのを皮切りに、1982年に桐朋学園大学を卒業し、アメリカのバイオリニスト、アーロン・ロザンドさんとの出会いから、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアあるカーチス音楽院に編入し、世界超一流の指揮者のレナード・バーンスタインさんや、セルジュ・チェリビダッケさん達の指導を受けています。
同音楽院を卒業後は、国内外のコンクールで優勝し、1986年には、同じくバイオリニストの葉加瀬太郎さんとジプシ-バンド「ヴィンヤード・シアター」を結成されました。
また1988からの4年間は、東京都交響楽団でソリストと月1回のコンサートマスターを勤められてもいます。
古澤さんは、バイオリニストとして、これまでに中国系アメリカ人チェリストのヨーヨー・マさん、ドイツのホルン奏者ペーター・ダムさん、フランスのジャズ・バイオリニストのステファン・グラッペリさん、ロシアのピアニストのミハイル・プレトニョフさん、ピアニストの高橋悠治さん、無国籍のピアニストのフジコ・ヘミングさんなど、高名な方々と共演されています。
古澤さんは、テレビCMに出演されたり、NHKの大河ドラマに俳優として出演されるなど、多様な活動を見せる一方で、上皇后の美智子さまともバイオリンとピアノのセッションを楽しまれたりその交友関係は幅広く、髭と帽子をトレードマークとする古澤さんは、一般的なクラッシックのバイオリニストの概念を超えたご活躍中で、クラッシックファンを超えて幅広い層のファンをお持ちです。
マリー・アントワネットも聞いたバイオリン
ストラディバリウスとは、バイオリンだけじゃないよ
ストラディバリウスとは、近世17世紀~18世紀のイタリアに住んでいたストラディバリという名前の父子の3人が製作した弦楽器のことを言います。
この父子が作った弦楽器は、バイオリン・ヴィオラ・チェロ・マンドリン・ギター・ハープなどその数は1000を超えているそうですが、現存する約600の弦楽器の大半がバイオリンなので、ストラディバリウス=バイオリンのイメージがありますが、実際には、チェロ、ヴィオラの他、極まれにマンドリンやギター、そしてハープも残っています。
父子3人の中でも、特に父親のアントニオ・ストラディバリさんが作った弦楽器が有名のようです。
ストラディバリさん父子が作った弦楽器には、「クレモナのアントニオ・ストラディバリが作った」ことを意味するラテン語「アントニウス・ストラディヴァリウス・クレモネンシス」のラベルが張られていて、このラベルの中の単語「ストラディヴァリウス」を由来にして、彼らの作った楽器が「ストラディバリウス」と呼ばれるようになりました。
マリー・アントワネットも聞きほれたバイオリン「サン・ロレンツォ」
今回古澤さんがスタジオで演奏するバイオリンのストラディヴァリウスには、サン・ロレンツォという楽器の名前が付けられています。
この楽器は、数ある現存するストラディヴァリウスの中でも、唯一直筆で、横板に「栄光と富は、その家にあり」の文字が作家本人の直筆で記載されている貴重なバイオリンです。
このバイオリンは、フランス王妃のマリー・アントワネットの専属バイオリニストを務めた経験がある「ジョバンニ・バッティスタ・ヴィオッティ」さんが所有していた記録も残っているために、ヴィオッティさんが、この楽器を使って、マリー・アントワネットにバイオリンの音色を伝えていたといわれている歴史的価値も加わった極めて貴重な名器です。
あの、マリー・アントワネットも聞きほれていたバイオリンだと聞かされたとたんに、今回の放送の音だけでなく、なぜか急に、生でバイオリン・ストラディヴァリウス・サン・ロレンツォの生音を聞いてみたくなりますよね。(笑)
また、楽器の名前の「サン・ロレンツォ」は、イタリアのトスカーナ州の都市フィレンツェにある教会の名前です。
イタリアでは、8月10日の星祭りの日のことを「聖サン・ロレンツォの日」と呼んでいて、昔からこの日に流れ星を見つけたら願い事をするという習慣が残っています。みなさんも、これからは、8月10日には、流れ星を見つけて願い後をしたらいかがでしょうか?ロマンチックな話ですよね。
バイオリンの所有者
現在、古澤巌さんが弾いているこのバイオリンの歴代所有者の中には、かつてはマリー・アントワネットの専属バイオリニスト「ジョバンニ・バッティスタ・ヴィオッティ」さんも所有していたことはお話しした通りです。
1718年製につくられて約300年の歴史を持つこのストラディヴァリウス「サン・ロレンツォ」の現在の所有者を調べたところ、なんと、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者として有名な、宗次徳二さんです。
戸籍上、宗次さんは石川県で出生されていますが、ご両親は不明で、孤児院で育てられ、3歳で養父母に引き取られたのですが、養父による虐待に耐えつつ廃墟で生活保護を受けながら極貧生活に耐えていました。養父と死別後は、養母とともに暮らして、アルバイトで学費と生活費自力で賄いって愛知県立小牧高等学校を卒業されて苦労人の方です。
高校卒業後は、不動産会社、大手住宅メーカー、不動産会社の職歴を経た後、喫茶店を開業され、奥様の作ったカレーが人気だったことから、1978年にカレーハウスココ壱番を創業されました。
宗次さんは、仕事一筋の超真面目な方で、その生い立ちから、贅沢を極端に嫌われているのですが、高校1年の時に、ラジオで聞いたメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲に心を奪われ、以後クラシック好きになり、実業家として得た資産は、自らの贅沢に用いることなく、経済的理由で進学できない音楽家志望の児童の支援や、小中学校への吹奏楽器寄付などの活動も行っています。
そんな、社会貢献の一つとして、宗次さんは、2007年に、クラシック音楽の普及を目的として、28億円の私財を投じて名古屋市内にクラッシック専門の音楽ホール「宗次ホール」を建設されました。
そして、自らの名前を付けた「宗次エンジェルヴァイオリンコンクール」の上位入賞者や、五嶋龍さん、葉加瀬太郎さんへストラディバリウスの貸与したり、宮本笑里さんへドメニコ・モンタニャーナの貸与なども行っており、その貸与された中のお一人が、今回、番組に出演されるバイオリニストの古澤さんという事になります。
現在の宗次さんは、現役当時と同じように、毎朝4時に起きて、ご自身が建てられた宗次ホール周辺を掃除して、花壇に花を植えたり、お昼にはスタッフ15人分のまかないを作ったり、コンサートの公演前には入場口で客を出迎えたりと、クラシック音楽に囲まれた充実した毎日を過ごされいます。
そんな宗次さんがオーナーとなる「宗次コレクション」は、バイオリンの名器「ストラディヴァリウス」9挺を含めて、合計38挺のバイオリンの名器があり、これまでも、これからも、才能溢れる音楽家の為にバイオリンの無償貸与を行っています。
少し、下世話な話題にはなりますが、2015年に、ハウス食品がココ壱番屋の株の過半数を取得して、ココ壱番屋を子会社化することを発表しました。この時、宗次さんご夫婦は、壱番屋の株券を23.17%保有していて、その際ハウス食品に売り渡した株の譲渡益は約220億円とも言われていることから、一挺10億円程度のストラディヴァリウス級のバイオリンが複数台あっても、大丈夫なわけですね。
まとめ
今回は、近世にマリー・アントワネットもその音色に聞きほれたといわれるバイオリンの名器で、現在日本のトップバイオリニストのお一人の古澤さんが使用、管理しているストラディヴァリウスのサン・ロレンツォの所有者が気になって調べてみました。
時価10億円といわれるこのバイオリンの所有者は、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者として有名な、宗次徳二さんでした。
宗次徳二さんは、2007年に、クラシック音楽の普及を目的として、28億円の私財を投じて名古屋市内にクラッシック専門の音楽ホール「宗次ホール」を建設されたり、「宗次コレクション」として、複数のバイオリンの名器を所有して、才能溢れる音楽家の為にバイオリンの無償貸与を行ったり、経済的理由で進学できない音楽家志望の児童の支援や、小中学校への吹奏楽器寄付などの活動も行っている方だと分かりました。
私たちは、時価10億円のストラディヴァリウスを所有することはできませんが、宗次さんが、宗次ホールを作った際のコンセプト「もっと身近に、もっと人々の生活の中にクラシック音楽を」に賛同して、是非、機会があれば、名器ストラディヴァリウスのサン・ロレンツォの音色を生で聞いてみたいと思いました。
やはり、名器は、ただのお金持ちのオモチャとなる運命ではなかったようですね。
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